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◇ブックレビュー

#シニアのブックレビューVol.4#

「団塊の主張」
森毅編 AG出版

 団塊世代の人々、それを応援したい人の手記。編者の森さんの「人生に小さな祭りを抱えて生きる」というのがこれから大事にしたい素敵なフレーズだと思う。秋田出身の人もいないかしら?と思いながら読み進めていったら八森出身の千場さんという方の手記があった。皆さんの小さな祭りはなんですか?今年の私はTDK、かな?

「定年ちいぱっぱ」
小川有里 毎日新聞社

 介護の仕事で訪問するのは圧倒的に一人暮らしの女性が多い。要介護だし調子が悪いはずだが皆口を揃えて「でもこの自分の状態で父さんの世話があったらとっくに自分がダウンしていた(一人になってよかった、父さん、淋しいけど先に逝ってくれて私は命拾いよ)」みたいなことをおっしゃる。これを念頭に読むと大爆笑のP78「ちょっと出かけてくる」という定年夫に「どうぞ。3年くらい行ってきてもいいわよ。防人でも遠洋漁船に乗っても。」私も60歳になって元気でこのせりふ言ってみたいものだ(笑)
 その他の名セリフP29「ボケた本人はわからんから困らん。困るのはそっちや。(介護するほう、の意)」これは事実です。在95歳。要介護5。
 P44定年後の夫が子どもとすれば一体何歳くらいだろうか。「幼稚園児」。なぜなら世話されるだけで、私と向き合おうという努力をしない。なんでも「任せるから」と逃げる。うーん、痛い、痛い。

「PAY DAY!!!」
山田詠美 新潮社

 魂の救済という難しい問題を身近で親しみやすいモデルを使って仕上げた秀作。自分的には読んだ年のベスト10に入る。山田詠美にぐっときた一冊。一人一人のモデルの心が明晰で売れたのがわかる。後の映画化された「シュガーアンドスパイス」にも通じてゆく。
 ロビンの友達のミシェールが17歳だがすごくいい。こんな友人がいたら17歳の人生は変わるだろう。最近の17歳男子高校生母親の首と腕切断殺人ではないがやはり青年になりかけの14歳、大人になりかけの17歳は人生の危機だと思うから。自分の思ってもいなかった部分が出てくる時期なのではないだろうか。それを理性でコントロールできるようになると大人になれるということだろうか。
 そのミシェールの名言P221「ショーン(ロビンの恋人21歳)のマミーはいい感じだわ(中略)見てよ、あのすごい笑い皺。でも彼女、眉間には全然皺がないのよ。」娘の姑になる未来の人もそうであってほしいかも。そして自分も。
 ニューヨークテロが起点になっているところもすごい。本気で他の作品も読もうかと思うほど。きっと彼女の若者主人公小説は彼女の青春に向けて書いているのだ。

「餃子屋と高級フレンチではどちらが儲かるか?」
林聡 ダイヤモンド社

 タイトルを見て図書館にリクエスト。最近新聞でも広告してます。具体的な比喩で楽しく学べる会計の本。さて、餃子屋と高級フレンチ、儲かるのは・・・?在庫を置かない蕎麦屋!とは。詳しい解説は読んで下さい。
 解説を加えるならP107ビジネスの仕方が違うので比較にならないようである。この違いは不況のときどれだけ損を少なくするかを考える中国人と不況といえども圧倒的な差別化で顧客をつかむフランスとの歴史の違い、とのこと。
 色々な店を食べ歩きながら経営の実際をトーク形式で学べる一冊。

(R・K)

#シニアのブックレビューVol.3#

「In His Times」
増島みどり 光文社

 29歳で早々と引退をしたサッカー元日本代表中田英寿の、プロ生活11年を見続けてきた著者が描いたNAKATA像。確かにタイトル通りNAKATAは日本のサッカーに彼の時代を築いたと思う。読んでいくにつれ、「時代と寝た女」と言われた山口百恵とダブる。NAKATAが時代をひっぱり、時代がNAKATAを走らせたっていう感じ。
 秋田もやっとTDKサッカー部がJFL入りしたけど、これから皆で盛り上げていきたいもんです。ちなみにホームでのゲームは5月3日、13日、27日、6月10日、24日を予定、以下7月から11月まで。サッカーは1点入るまで大変ですから1点入ったときのお祭りはストレス発散ですよ。
 すべての人に必要な言葉P335「決断に後悔は似つかわしくない。心残りはいつだってあるけどそれを考えていたら前に進めない」。29歳でこれを言う強さがNAKATAだ。それでも、P338好きな風景は?という問いに「雲」と答えるところは、出身の山梨はきっと盆地で雲が形を変えて流れていく街だったんだろうな、と好感。

「ツチヤの軽はずみ」
土屋憲二 文芸春秋

 「おもしろい」「共感する」「興味深い」・・・褒め言葉はいろいろあるけれど「げらげら笑う」と書けるのはこの一冊。文庫では中井貴恵さんが解説を書いているがこの文章もげらげら笑える。日常は哲学である。この頃ガハハと笑ってますか?

「無敵の一般教養」
島田雅彦 メタローグ

 一般教養はもちろん「パンキョー」とルビがあることでぐっと身近になる。村上龍の「13歳のハローワーク」に似ていて若者にも是非薦めたい一冊。
 P47人類の特長は「おばあさん」の登場、とは慧眼(惑星物理学者松井孝典氏)。P133子どものころ蝶を集めた自分(重要か違うかで取捨選択をしてきた)と甲虫を集めた養老孟司さん(甲虫は見かけ上あまり大差がないので平和主義的)では、その後の世界観に影響を与えると思う(脳科学者茂木健一郎氏)もまた新発見!
 名言は、P148どこに行ってもそこを世界の中心にして生きている人たちがたくさんいる。(文化人類学者関野吉晴氏)

「ライフイベントの社会学」
片瀬一男 世界思想社

 社会学というタイトルが興味を引く。P130ロビンソンクルーソーが孤島に流されてから今までの人生の+と−のバランスシートを作ったところ、また権威主義的しつけは、上司の監督の下ものづくりをするのに従順になるが創造性のある仕事は苦手というところも、現代子育てのある一面を表しているのではないだろうか。
 またP158抜こうと思えばどこまでも手抜きができ、やろうとすればいくらでも創造的にできる家事こそ自己裁量の多い(自己指令性の高い)仕事なので知的柔軟性を高める、とは高齢化社会に一つの指針かも。

(R・K)

#シニアのブックレビューVol.2#

「くうねるところ すむところ」
平安寿子 文芸春秋

 4月からの新番組にもなるはず。火曜10時です。青木さやかがヒロイン。出版社OLが恋のために一念発起、建設業に飛び込む(仕事を辞めて!)というストーリーだが平さんが描くと元気をもらうウーマンストーリーになるから嬉しい。
 平さんならではのいつもの一言名(迷?)ゼリフP118「ああ。誰か、替わって。自分を辞めたいー。」(これも〈自殺願望のリセットしたい〉というセリフではなく、〈自分が別の自分になりたい〉セリフ)。P202「わたし、ハッとしたな。そうか、家って思い出の容れ物なんだって。」(引越しばかりで結局家のないまま自立していった娘、ごめん!)の反面、自宅改築のため更地にすることに対し「ここに新しいものが建つ」ことにわくわくする建設屋の心も生き生きと描かれていて、いつもながら読んで元気をもらう本

「中年の達人」
高橋祥友 講談社

 中年になるのは生きていれば誰でも出来るが「達人」まで極めるのは難しい、そんなあなたにスマートなシフトダウンの生き方を教えてくれる読み安い一冊。そして私もつくづく考えていることを後押ししてくれる一言を発見。P60「私は親の世代の方がよほど豊かな生活をしていたのではないかとさえ考えてしまうほどである。」
確かに当時50を迎えた彼ら彼女たちは無尽と称しての深夜までの集まり、夫婦のグループ旅行、孫育てより趣味、今よりずっと濃い人間関係の中で自分というものを優先させて生きていた気もするこの頃である。
 そしてこれからの私たちが行き着くところは・・・?

「みちのく職人衆」
野添憲治 社会評論社

 みちのく秋田の職人たちのインタビュー。樺細工、鋳物、凧から、百姓という肩書きで金さんという方も職人として登場させている。
 先日テレビで芸能人と現地ガイドの人が白神山地を登っているのを見たが、現地の人の表情の方が格段に良かったのが印象的。
 地に足の着いた生活、自分の仕事に誇りを持つ尊さが描かれた一冊。

「『江戸しぐさ』完全理解」
越川禮子・林田明大 三五館

 日本がテーマだが内容コスト的に「買い」の一冊。
 人間関係を円滑にする江戸しぐさのルーツは〈陽明学〉ということで、前半はそのへんも紹介している。
 以前、CMでもやっていたと思うけれど、「肩引き」「傘かしげ」「階段は昇って行く人が譲る」(車の運転とは逆ですね)などなど、いくつ身についているでしょう?
 江戸時代は、多分奉公に出る…ということもあるからかもしれないけど9歳くらいまでにしつけていったそうです。P39「学びが楽しみとなるとき、心の栄養になり、いついかなる時も自分を支えてくれます。他人とも上手に和を保ちながら成長していけます。学びで得た心の栄養こそ、人間の成熟を助け、生きる手立てとなるソフトなのです。」って、格好良く言えればそれだけでご隠居いや、中年の達人として孫たちに尊敬されるであろう。もちろん、身をもって示して、だが。
 P200「会釈のまなざし・・・江戸っ子は無気力、無表情を嫌いました。まなざしは人間性をあらわす鏡のようなもの」これは人の目を見て話し、聞きなさい、ということだろうか。
 さて「江戸しぐさ」は82個掲載されている。時間をかけて自分のものにしてゆくのも生涯学習かも。

(R・K)

#シニアのブックレビューVol.1#

「ひとり日和」
青山七恵 文芸春秋3月号掲載

 ご存知このたび石原慎太郎、村上龍絶賛で芥川賞を受賞した作品。一人暮らしをすることになった「ハタチ」の女の子が、「一人で住むよりは」ということで71歳の遠い親戚、でも初対面のおばあさんの家に住むところから始まる一年を追った物語。
 タイトルの意味など考えながら読むと、達観して一人の日々を紡ぐ71歳と社会の入り口に立って一人で生きてゆく女の子へのエールなのか? 23歳の著者から見たら71歳ってこんな感じなのかな、とも思いながら読む。
 「わたしは、いっぱしの人間として、いっぱしの“人生”を生きてみたい。できるだけ皮膚を厚くして、何があっても耐えていける人間になりたい」というセリフなどが芥川賞受賞時の村上龍の「限りなく透明に近いブルーだ。僕はこんな風に生きたい」のように若々しさを感じさせるのだろう。「型からはみ出たところが人間。はみ出たところが本当の自分」というセリフだって71歳が言うと素直に聞けそうだし。
 人が成人して独立する場面で、しばしば親子と言うものが最近は薄くなって、もしくは極端に重くなってきて様々な事件につながっているが、むしろこのような人間関係の方がよいかもしれない、と読み進むうちに思えてくる一冊。

「わたしのスフレ」
林真理子 マガジンハウス

 「スフレ」というタイトルは「こわれやすい、傷つきやすい、大切にしまっておきたい」からね、と思いながら読む中学高校生時代の真理子さん。
 前述の「ひとり日和」の「型からはみでたところが云々」にもあるが林さんもまた欠点弱点が成功の秘訣、みたいなことを言っている。「背伸びをしなければ成長はない」というセリフにうーん…とうなってしまう今の私。たしかに年を取るとやんちゃしなくなってくるものなぁ。

 「そして中年になった私は傲岸に顔を上げ「だからどうした」とつぶやいている。二十歳の私には決して口に出来なかった言葉だ」ってこの2ヶ所だけで小説になっている。新刊なだけあってラストは秋田の畠山鈴香容疑者の文。自分との共通点(これは読んでのお楽しみ、林ファンなら読まずともわかるかも)を述べ、一つタイミングがずれれば自分も作家でなく鈴香だ、とかんがえているところが深い。

「真っ赤なウソ」
養老孟司 大正大学出版会 

 シニアの皆様にも「バカの壁」ですっかりおなじみになった養老さんの本。今回はやたら宗教が出てくるなぁ、と思っていたら大正大学サテライト教室の講義だったからだ。
 「若い人に城を明け渡す」(=社会的役割を持たせる、の意)って今見ている大河ドラマの武田父子の確執のよう。それとも高視聴率「華麗なる一族」もか? 昔の日本いや世界は明け渡したくなくて若い人がたくさん死ぬ戦争を起こした(第一次、第二次世界大戦のこと)というところは極論だが、ふーん…と思ってしまうところ。
 そしてこれまた老若の確執だが「俺が我慢したんだから、おまえも我慢しろ」という年寄りでなく「自分は思い切って生きてきたんだからおまえたちも思い切って生きたらどうだ」と前向きに言うことが必要、というところは至言。こんなシニアになりたいもんです。

(R・K)

「齊藤孝のおすすめブックナビ  
  絶対感動本50」

出版元 マガジンハウスISBN4-8387-1444-0
発 行 平成15年9月18日

 少し古い本だが、『声に出して読みたい日本語』『三色ボールペンで読む日本語』『読書力』などの著者として知られる齊藤氏がどのような本を薦めているのか興味を持った。〈自伝・エッセイ〉〈ノンフィクション〉〈身体・心理・哲学〉〈歴史〉〈神話の世界〉〈絵本・漫画〉〈文学・小説ほか〉などに分類されているので、どこからでも興味を持ったところを開いてみよう。たとえば『若き数学者のアメリカ(藤原正彦著)』は、『国家の品格』で有名になった藤原氏が20代終わりにミシガン大学に研究員として招かれ難関を乗り越えコロラド大助教授になった話をつづったもの。

 どの本の紹介も数行の引用とそれに対する齊藤氏の感想をいくつか繰り返すことで、それぞれの本の持つ文体の美しさや格調の高さ、わくわくする躍動感などが感じられて興味深いものになっている。
 どなたにも50冊のうち題名だけは知っているもののまだ読んでいない本がきっと見つかり、あらためて読んでみたいと思う本が見つけられるでしょう。付箋を用意してお読みください。

(ASCメンバー・高杉静子/秋田市)

「老いては子に逆らう  
  〜わたしの老親修行〜」

著 者 吉武輝子
出版元 海竜社ISBN4-7593-0609-9
発 行 平成11年11月21日

 このごろ弁舌さわやかな吉武さんの姿をテレビでお見かけしないなと思っていたけれど、この本は今から6年ほど前に書かれた。
 私たちは子どもがいるとついついその子の将来と自分の10年後20年後を重ね合わせて考えてみる。しかし著者は、親の介護のために子どもがいるわけではないと説く。親子であっても、人生を懸命に生きたもの同士という関係をふまえ、適度な距離と礼節を保つ必要がある。「親だから」「子だから」という言葉を印籠のように示し続けていると、人間としての関係を自ら断ち切ってしまうことになりかねない。

 この本の多くのスペースを94歳でなくなるまで画家として生きた三岸節子と、それを生涯支えることに懸命に生きた息子黄太郎との日々を書くことに割いている。節子が亡くなったとき69歳の息子のこれからを思い、死によって解放されるのではなく、お互いが生きている間に人としてのしがらみとは違った人間関係を構築できなかったものか、と著者は問うている。

 わが子であっても別人格を持つ一人の人間として付き合い子どもを束縛しない生き方は、同時に自らを至極楽にしてくれるのだと気づかされる。

(高杉静子)

「旅のプラズマ」

著 者 首藤和弘
    1935年 大分県臼杵市生まれ
出版元 新風舎 電話03-5775-5040
発 行 平成18年9月20日

 大手銀行員、ファイナンス会社社員の勤務時代は全国を走り回っていた。
 著者は退職前から「退職したら家内と毎年1回は海外旅行する」と決めていた。
 そして、退職後はもくろんだとおり、毎年世界中を旅し、その土地に住む人間と接触した思い出を一冊の本に著した。
 純米酒普及推進委員会委員という肩書きを持っている氏は、純米酒のような味わいのある文章を綴っている。
 八郎潟町の誘致企業、横浜電子株式会社の役員もされている関係で八郎潟町にも縁が深い。

 氏の大好きな正岡子規が八郎潟町に来ていたということを知り、正岡子規を道案内にして湖東地区の風景も紹介している。
 退職を目前にされている皆さんにはひとつの生き方を示す良い本だと思います。

(ASCメンバー・児玉亮/八郎潟町)

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