原発問題を知るための書物案内

肥田舜太郎、鎌仲ひとみ『内部被曝の脅威』ちくま新書

福島で起こっていること、これから起こることがその背景を含めて判る。低線量被曝の問題を、肥田医師が診察し続けた被曝患者のデータと核実験や核施設で多数の被爆者を生んでいる合州国の医師のデータを併せて紹介し、低線量被曝に特有なペトカウ効果にも触れつつ、判り易く解説している。また、チェルノブイリ事故後10年ほどでみられた北日本における乳癌発生率上昇の報告もある。イラクにおける劣化ウラン弾による被曝者、核兵器と原発の故郷であるアメリカの被爆者、そして日本、そうした三角取材で現代における被曝の姿を映像に刻んだ鎌仲ひとみ監督作品『ヒバクシャ』を同時にご覧いただけると理解が深まる。

西尾漠『新版 原発を考える50話』岩波ジュニア新書

判りやすいし、包括的だし、お勧めの入門書です。言い換えれば、ジュニア新書としての読みやすさを貫きつつ、社会の問題として、また科学の問題として原発を捉え、豊富な情報によって、その矛盾を明らかにしています。原発推進のテレビ・コマーシャルや「二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギー」といった新聞広告に影響されていたと感じている方には是非読んでいただきたい。

鈴木真奈美『核大国化する日本』平凡社新書

核兵器といわゆる「平和利用」の問題ある関係について一冊で判ってしまうステキな本です。核兵器と原発がコインの裏表であることに合点がいきます。鉄腕アトムの動力は原子炉、妹の名はウランちゃんでした。かつて「原子力の平和利用」という甘い言葉にまるめこまれた私たちが今背負いこんでいるものは、使い途のない数十トンというプルトニウム(生物的毒性はウランの20万倍とされる)と天文学的な数字の廃棄物です。そうした事態をもたらした冷戦構造は何であったのか、という歴史点描はもちろんのこと、自分たちがつくり続けた核と原子力のせいで崖っぷちに立たされ身動きがとれなくなった国際社会についてもよく判ります。

高木仁三郎『原発事故はなぜくりかえすのか』岩波新書
  
言わずと知れた<原子力資料情報室>創設を進め、ノーベル賞より偉いライト・ライヴリフッド賞受賞者となった高木先生の本。小出裕章先生もそうですが、原発批判、反原発運動を推し進める方々のなかには、もともと原子力研究、原発開発の内側で仕事をしていた方がいます。そうした方々の発言には重みがあります。『高木仁三郎著作集』全12巻(七つ森書館)があることをつけ加えておきます。

<続く>