福島原発事故、その後(5/21)   村上東

 年間20ミリシーベルト以下の被曝であれば学校教育継続という文部科学省の通達に国内外から非難の嵐が起こる。合州国のノーベル平和賞受賞団体<社会的責任を負う医師団>は声明を発表し、「年20ミリ・シーベルトは成人に対して500人に1人の割合で発ガンのリスクを発生させる。この被曝は子供たちにとっては200人に1人の割合で発ガンのリスクを発生させる。そしてもし2年間にわたってこの線量を被曝すれば、リスクは100人に1人である」と批判している。また、日本医師会も疑問を呈している。この問題についての代表的な関連サイトは以下(両方とも必見の情報):
http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/hiroshima_nagasaki/fukushima/PSR_20110429.html
及び、http://fono.jp/uploader/src/file_1181.pdf

国内外の市民運動や研究者が提供する情報と日本の政府とマスコミが鵜呑みにさせる情報とが対立することを反映し、福島の被災地では住民の混乱が続いている。例えば、父親が勤める企業は風評被害を避けると称して母親と子供の疎開/避難を禁止や牽制している場合があるが、そうした夫婦や家族は引き裂かれてしまう。その狭間にいる子供たちはどうなるのだろうか、心配がつのる(携帯電話やパソコンから子供たちも意見を出せる時代なので、涙を誘うメッセージが多い)。ご近所でも対立は激化し、政府や県庁の後押しで自分たちの農産物を出荷し風評被害(チェルノブイリ事故以後汚染した食物に依存し続けた地域は健康被害を現在も再生産しているのだから、風評とは言えない)に立ち向かおうという生産者と明白に汚染している農産物等の出荷自粛をする人間とがぶつかりあう構図が数多く伝えられている。市民運動側にそうした情報を流すことがさらなる対立やイジメを生む可能性が強いため、こうした情報の多くは匿名を条件に伝えられる。

東京新聞は、各社横並び路線(元から沖縄2紙にやや近い硬骨ぶりだが)から離れ、経済産業省を批判する記事を連続掲載。5月17日は「東電また情報操作、狙いは原発存続?」と題して、経産省と東電の癒着を指摘。そのあとすぐ東京新聞は経産省から取材差し止めの報復を受ける。日本経済新聞(電子版)も15日一般企業の自家発電能力総量を紹介するかたちで政府と電事連の「計画停電作戦」を暗に批判している。その背景には、石油ショックを表向きの理由にして進められた原子力依存路線と先進国で一番高い電気料金のお陰で割りを食い、自家発電による電源確保と国外移転(かつては花形であったアルミ精錬は一社しか残っていない)を迫られた業界の苦い思いがある、とも解釈できよう。原発推進で国際競争力を見込める分野の成長が阻まれたことは事実。テレビはともかく新聞の横並び大本営発表姿勢は相当に追い詰められているのかも知れない。

原発銀座を抱える福井県西川知事は、定期点検中の原発を再起動させない方針を、20日朝日新聞の取材を受けて、発表した。これは<地元の乱>総決算と言えよう。しかしながら、いわゆる<原発村>推進派や沖縄問題で鳩山由紀夫を退陣に追い込んだ親ホワイト・ハウス勢力(国際会議ではIAEAに寄り添い、福島県内では放射能の危険性を過小評価する活動を続ける方々はその人脈に連なることが指摘されている)の巻き返しが局面の混乱や悪化を生む可能性も否定できない。

 菅政権は東電存続路線であり、東電の資産を補償には回さず、税金投入の意向である。また、浜岡は補強工事のあとに再開することを明言している。一番今気懸りなことは、そうこうしているうちにも近い将来健康被害を生む内部被曝が深刻化している事態である。批判の手を緩めてはならない。