私たちが望む福島原発事故への対応

          2011年4月25日    
環境と暮らしを考える集い


◆諸外国なみの情報開示を求めます

合州国環境保護局は北太平洋のさまざまな地点で放射性物質の値を計測し公表しています。そのなかには危険度の高いアルファ線を出すウラニウムの計測値も含まれています。当事国の日本はヨウ素131とセシウム137に関する情報は多くの自治体が公表していても、それ以外の値を知ることがほとんどできません。原子炉格納容器が損傷し、本来環境に放出されてはならない多種類の、しかも大量の放射性物質が大気を汚染していますから、情報収集と情報開示は不可欠です。気象データの開示も重要でしょう。

こどもたちを守る基準値の設定を求めます

細胞分裂が活発なこどもが放射線による健康被害を一番受けやすいことは広く知られています。チェルノブイリ事故の際も、短い年数で深刻な被害を蒙ったのはこどもたちですし、大ブリテン島西部セラフィールド核施設近郊でも、低レベル被曝の影響は子供たちに深刻なかたちで現れました。こどもに対する年間20ミリシーベルトという基準は生命の危険すら予想されます。厳しい基準と関係者が安心できる避難対策が必要です。

避難地域の拡大を求めます

国際放射線防護委員会 ( ICRP ) の被曝評価モデルでは、低線量被曝に対する考慮が不十分であるため、福島原発事故周辺地域に今後予想される健康被害を正当に予測できない可能性が強く指摘されています。低線量被曝を念頭において考案された<放射線の危険に関する欧州委員会> ( ECRR ) などが提唱する被曝評価モデルを踏まえ、避難地域を拡大し、近い将来予想される健康被害を少しでも避ける対策を講じる必要があります。これは人命の問題です。

空気・水道水・食品の安全基準強化を求めます

ガンマ線による外部被曝は、少量で身体を突き抜けてしまえば、大きな健康被害を生まない可能性もありますが、長期間にわたって深刻な影響をもたらすのは内部被曝です。体内に残った放射性物質は、たとえ少量でも、癌などの健康被害の原因となります。ワクチン接種時の不適合等と比較して桁違いの被害が予想される現在、広範囲に及ぶ計測と情報開示が求められますし、厳しい基準に照らした流通管理が望ましいことは言うまでもありません。また、生産者への充分な補償を前倒しで行うことが食品管理の前提となります。

医療体制の拡充と長期間の健康調査を求めます

危険地域からの一刻でも早い退避と内部被曝を防ぐ水道水・食品管理が第一に求められますが、もう既に被曝は進んでいますし、残念ながら今後拡大するでしょう。医療体制の拡充と長期間の広範囲にわたる健康調査が被害の軽減化につながると期待できます。経験のある医師が提唱している<造血幹細胞の事前採取>などは好例です。今後さまざまな英知が医療体制拡充に生かされることを期待します。

公害の歴史は患者切り捨ての歴史でもありました。放射性物質が飛散した地域すべてに健康被害の可能性が生じていますが、因果関係が証明できないという不条理な理由で医療補償を制限してはなりません。誰もが安心して晩発性被曝障害の治療が受けられるような、事故後に対応した健康保険の抜本的改訂が望まれます。

退避する方々への充分な補償を求めます

地震と津波までは天災と見做せるかも知れませんが、長い年月にわたって識者や市民団体の要望や警告を無視し続けたことが今回の大惨事につながりました。東京電力もさることながら原発推進政策を強硬に推し進めた政府の責任は明らかです。事故を隠し続け、内部告発を封じ、嘘で固めた安全神話を築いた結果、周辺自治体ですら放射線被害についてほぼ何も知らないという事態が生じています。東電の資産及び特別会計に組み入れられる電源開発促進税等はまず被災者救済に充てるべきです。既に将来を案じ自殺した方のニュースが報じられています。一刻も早く被災者の納得がゆく補償策が求められています。

代替エネルギーへの転換を求めます

もう一度大地震が起こればこの国は消えてしまうかも知れません。その事態を回避できたとしても、30年以上続けられた原発行政で溜まった放射性廃棄物は120万トンと言われ、国中を死の灰の墓場にする可能性すらあります。また、原発推進のために生じた代替エネルギー転換の遅れは、大きな国家的損失となりました。代替エネルギーは我が国の科学力、技術力、産業力が生かせる分野です。今からでも遅くはないでしょう、政策の転換が求められます。