NPO法人おのばホタル会

団体名:NPO法人おのばホタル会 代表理事 坂本公悦さん

ホタルの幼虫放流

草刈り作業


ホタル人工飼育の様子

 おのばホタル会は、平成19年から秋田市御野場で、ホタルが生息する豊かな自然環境を次世代につなぐため住みかとなるホタル水路の管理や周辺の草刈りなどの環境整備や保全活動を、地域住民と一緒に続けています。今年の4月(※)には会をNPO法人化し、長期的に活動を続けるための組織体制を整えました。

【おのばホタルまつり/ホタルの学校宣言】
 代表理事の坂本さんによると昔からこの地域は、夜空が明るくなるほどのホタルの名所として知られていたそうです。近年は乱獲や環境の変化などによりホタルが減少したため、同会では、ホタルを増やすために、エサであるカワニナを育てたり、ホタルの人工飼育を行ったりしながら試行錯誤を重ね、ホタルを卵から飛翔するまでの飼育方法も確立しました。「ホタルはまさに『地上の星』と言えます。幼虫の光る様子も感動的で、地上の宝物であり地域の財産です」と坂本さんはホタルの魅力を語ります。
平成28年から開催している「おのばホタルまつり」では、ホタル鑑賞や地域の四ツ小屋小学校のブラスバンドコンサートなどを催し、大勢の人が楽しんでいます。平成30年に「ホタルの学校宣言」をした同校では、地域の自然環境を学ぶ勉強会や校内のビオトープにホタルの幼虫放流・ホタル飼育の水槽の設置など、ホタルに親しむ機会を提供しています。またホタル水路に子どもたちがデザインした啓発看板を設置するなど、ホタルの保全活動を通じて自然環境への関心を高め、地域の魅力を知り、地元を愛する心を育んでいます。

【環境保全と地域経済の成長】
 一方、令和3年から長年ホタルの保護活動を続けているこの地域で大規模な圃場整備工事が始まり、区画整理後にはホタルが大幅に減少しました。会ではホタルを捕獲し、他の場所に移したり、人工飼育に切り替えたりと対応しています。ホタルが自然に復活することを目指し、ホタル水路にコケを植えて幼虫が育ちやすくするなど工夫を凝らしながら「ホタルの里づくり」に挑戦を続けています。そのほかにも、ホタルは数が減り小さな集団になると近親交配が起こるため、対策として他の地域のホタルと交換したり、ホタルを育てるための技術等を希望する地域に提供したりとホタルを増やすための様々な取り組みを進めています。その上で、耕作放棄地は手入れや管理が行き届かずにホタルもいなくなってしまうため、耕作放棄地を増やさないようにすることや農地の開発・経済対策と環境保全を両立する方法を模索しています。

 

かだれ 令和4年9月号 掲載時点での記事です。

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