NPO法人新屋参画屋
団体名:NPO法人新屋参画屋(代表理事 冨野 昭雄さん)
店舗が入居している新屋表町通りの参画屋 |
渡邉幸四郎邸内部の様子 |
新屋地区(秋田市)は、羽州浜街道の宿場町として栄えた地域です。豊富な湧水の恵みにより醸造業が発展し、国の登録文化財の建物や町家、社寺などが点在しています。
同法人は、地域住民や学生たちと協力しながら、地域の歴史や文化を知ってもらうためのまち歩きやイベントなどを開催し、新屋表町の伝統的な建築物を活かした活動を続けています。
【活用することで保存する】
理事長の冨野さんたちは、元々仲間たちと地域のにぎわいづくりのイベント等を行っていましたが、建築物などは日常的に見ている身近な景観のため、その価値については意識しなかったと言います。地域にある秋田公立美術大学教員から評価を受けたことで、「新屋にしかない」大切なものと気づきました。その後、住民、振興会、商店会、学生等の協力により同地区のシンボルでもある三角形の特徴ある建物「参画屋」を整備し、店舗として貸し出したり、酒蔵だった「渡邉幸四郎邸」を学生や卒業生などの個展や作品の制作の場に提供したりと、地域内外の人が集う場所といて活用しています。また同邸にて中古レコードを販売する「新屋レコーズ」を運営し、その収益を改修費に当てるなど、活用することで保存に取り組んでいます。
【地域への愛着や誇り】
文化庁「文化に関する世論調査(2020年度)」によると、『伝統的なまつりや建物などの存在が、その地域の人々にとって地域への愛着や誇りとなるか』との設問について、『そう思う』と回答した人の割合は、79.3%と高い割合を示しています。この地域においても伝統的な建築物等が、学生を始め、住民たちによって、大切にされていることがうかがえます。
活用を続ける一方で冨野さんたちは、今後は後継者不足などにより歴史ある建築物が失われていくことを懸念し、アーカイブスとして様々な方法で記録に残すことも検討しています。
この記事は情報誌「かだれ」 Vol.47(令和4年1月号)で掲載したものです。