NPO法人秋田マック
団体名:NPO法人秋田マック(理事長 石崎 利巳さん)
秋田マックセミナーの様子 |
教会のバザー出展の様子 |
秋田マックは、ミーティングなどのプログラムへの参加を通じて、アルコールやギャンブルなどの依存症からの回復を目指す人をサポートする団体です。2008年2月、自身が依存症に苦しんだ経験から、苦しんでいる人の一助になりたいと佐藤孝さん(現理事)が団体設立のため土崎教会を訪ねました。当時、信徒会長であった石崎理事長らが、その思いに賛同し、依存症などの病気に知識のある病院関係者や秋田大学の教授などと組織づくりについて話し合いを続け、2009年1月にNPO法人格を取得しました。
【病気を認め、自分と向き合う】
「依存症から回復するには、『依存症は病気』であるという事実を本人が認めることから始まります。本人は病院で診断されても認めたくないのですが、それを認めることが大事です」と石崎理事長は話します。
ここでは、当事者が病気を正しく理解し、共同生活により規則正しい生活を送ることで健康的な社会生活を営んでいけるよう手助けをしています。現在、運営する2つのグループホームと一つの共同住宅には依存症からの回復を目指す20代から60代までの10名ほどが暮らしています。
毎日行われるミーティングは、「自分がどんな時に飲んでしまうのか。どんな時に記憶を失ったか。それに対して自分はどう思うのか。なぜお酒を辞めたいと思うのか」など自分の経験を正直に話し、仲間の経験を聞く場です。「信頼できる場や仲間がいることで話しができる。ミーティングは安心して話しをする場」と信頼関係を築くことを重視します。参加者やスタッフは、互いに批判や意見を述べることはせずに、それぞれの話を受け止めます。話すことで自分を客観的に見ることができ、お酒のせいで家族や周囲に迷惑をかけていることを自覚していきます。
【知らないことによる誤解や偏見】
利用者の対応にあたっているスタッフの佐藤明美さんは、「まだまだ依存症について間違った情報や誤解、偏見があるので家族は声を上げづらい。依存症の人は迷惑をかけてしまうことはありますが、真面目でがんばり屋の人が多い。ただ不器用で上手く生きられない。そういう意味で社会からはじかれた人たちです」と思いを口にします。
【共生社会の実現へ】
石崎理事長は、「当方の施設を地域の方が理解して時々訪問してくれたり、入居している人と交流したりしてほしい。交流できれば、怖い人ではなく、優しい人たちだとわかってくれる」と地域住民との交流の必要性を説きます。コロナ前は、依存症について正しい知識を得るための講演や回復した仲間の体験談などを話してもらう公開講座「マックセミナー」を開催したり、カトリック教会のバザーなどに参加し、綿菓子や焼きそばコーナーを担当して子どもたちと交流したりしていましたが、今はコロナ禍のため開催できないことに頭を悩ませています。
依存症からの回復には、本人や家族だけで抱え込まずに秋田マックのような団体や病院等の専門機関に相談し、適切な治療や周囲のサポートを受ける必要があります。また私たちも依存症の正しい知識や理解を深めることで、様々な状況にある人が安心して暮らし、何度でもやり直すことができる寛容な社会であることが望まれます。