NPO法人鳥海山麓グリーンネット
団体名:NPO法人鳥海山麓グリーンネット(理事長 嵯峨佳苗さん)
NPO法人鳥海山麓グリーンネットは、平成20年に菜の花を景観・食品・燃料など幅広い分野に活用し、遊休耕作地を再利用することで農村地域の活性化を図り、地域に根ざした循環型環境保全社会の形成を目指して設立されました。令和元年に名称を「あきた菜の花ネットワーク」から「鳥海山麓グリーンネット(以下:グリーンネット)」に変更し、現在は鳥海高原を拠点に、循環型農業の実践および普及啓発、環境教育などに取り組んでいます。
【鳥海高原の魅力の発信】
鳥海高原桃野地区(由利本荘市)は、鳥海山を臨む風光明媚な場所です。毎年、県内外から多くの人が訪れ、自然豊かな高原を楽しんだり、満天の星空を観察したりと鳥海高原の魅力を満喫しています。グリーンネットは、この地区で農業、畜産、観光、環境教育などに関わっている仲間たちと一緒に、春の山菜や夏の高原野菜の収穫体験を実施、さらなる鳥海高原の魅力を掘り起こし、関係人口の増加、活性化に向けた活動を展開しています。
【バイオマス資源の活用】
同地区は、花立牧場をはじめ酪農農家が多く、バイオマス資源に恵まれています。バイオマスとは、再生可能な生物由来の有機性資源のことで、大気中で新たに二酸化炭素を増加させない「カーボンニュートラル」な資源といわれています。バイオマスには、家畜排せつ物や食品廃棄物、稲わらやもみがら、林地残材など様々なものがあります。グリーンネットは地域の家畜排せつ物を堆肥として積極的に利用し、環境循環型農業を実践。菜種やひまわりなど油脂作物、とうもろこしや玉ねぎ等の高原野菜を栽培、農作業体験や環境学習の場・グリーンツーリズムの受入なども行っています。理事長の嵯峨さんは、鳥海山を臨む畑地での収穫体験を通じて、地産地消やバイオマスの利活用を身近に感じてもらえる活動として手応えを感じています。
【環境教育・循環型社会の形成】
秋田県立大学や鳥海高原元気創造研究会と協力しながら、鳥海高原を活用した環境教育に取り組み、地域の小学校や親子、一般の人などを対象に、地産地消による二酸化炭素の削減、循環型農業や私たちの生活が環境や生態系に与える影響などを分かりやすく丁寧に伝えています。嵯峨さんは、「耕畜連携農業は、自然環境の整備保全に大きな役割を果たしています。今後は、通年で体験できるメニューの開発や環境影響調査などを参加型にするなど、環境保全・体験できる教育の場として鳥海高原の自然環境の維持や活性化に尽力して行きたい」と将来の展望を語ります。
地域資源を活用することで持続可能な循環型社会の形成が望まれます。
鳥海山を臨む畑地 |
秋田県立大学生による環境学習会 |
※県央情報誌(かだれ)令和5年9月号掲載記事の転載です。